TiO2ナノ粉末と天然色素を使った太陽電池



〜 陰極の形成 〜



図1.透明導電性ガラス(ITO)に塗布・焼成したTiO2膜(右の試料の丸い部分)と、色素を吸着させたもの(左).



図2.TiO2膜のSEM写真.乳鉢混合(左)と振とう器混合(右).

ナノ粒子は可視光の波長よりも小さいため光の散乱が少なく、図1では半透明に見えています.
薄膜表面の微細な構造によって、表面積大→色素吸着量大→光電変換効率大、となります.
従って、ナノ構造をいかに制御するかが、高効率電池への課題のひとつと言えます.
ちなみに図2の試料では、分散が進んだ右図の方が効率が優れています.


〜 色素 〜



図3.左がハイビスカスティーを濃縮したもの、右が超お高いRu錯体系の色素(N3).
これらにTiO2膜を一晩ほど漬込んで色素を吸着させます.


〜 太陽電池の構成 〜



図4.対向電極のPtコートITOを合わせ、電解質溶液を注入した色素増感太陽電池.
まん中の赤丸部分(直径約5mm)にTiO2/色素があります.


〜 電池の特性評価 〜



図5.ハロゲン光(IRカット)の下での電流ー電圧特性.
電流と電圧を大きくすることが目標です.

   (赤) TiO2膜の厚さ 7 μm、色素=Ru-N3色素
   (青) TiO2膜の厚さ 7 μm、色素=ハイビスカス
   (緑) TiO2膜の厚さ3.5μm、色素=ハイビスカス

・緑色と青色のデータは同じハイビスカス色素ですが、膜厚が異なります.
 10μm程度までなら膜厚とともに変換効率も上がることが分かっています.

・青色と赤色のデータを比較すると、やはり高価なRu色素は性能もいいですね.
 健康茶として市販されている天然色素のハイビスカスもなかなかのものです.
 Ru元素は稀少なため、他の色素を探索することも研究のテーマとなります.



なかなか更新する時間がないので最近のデータだけ...(2006年1月現在)



図6.ハロゲン光(IRカット)の下での電流ー電圧特性.
基板のコーティングや反射層によって電流値が増えました.
でもAM1.5に換算するとまだ効率は6%程度です.